夜、雨は上がり、ポズナンの街の河原は多くの市民、観光客、スタッフで溢れ、無数のランタンが空を舞った。
24時。
皆が思いを込め、空に放った色とりどりのランタンはみな薄い雲の中に吸い込まれて行った。
紙と細い針金で作られたランタンは頼りなく、飛び立つ前に燃えてしまうもの、なかなか飛び立てないもの、浮力が十分でなく観客に向かって急降下するもの、勢いよく空へ解き放たれるもの。
それはまさに浮遊する魂を見ている様な光景。
無数の光。
様々な人間がここに集い、それぞれが慎重に火を灯し空に送り出した光達。
気がつくと足元に飛び立つ事が出来なかったランタンと雨からランタンを守ったビニール袋が無惨な姿を晒していた。
見上げれば幻想の世界。
見下ろせば現実の世界。
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